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3)避難生活
阪神・淡路大震災では最高時32万人に迫る被災者が避難所生活を強いられた。しかも、当初は行政主導で避難所を開設、運営するという従来の形態がとれなかった。このため、災害弱者は極めて厳しい状況に置かれた。
トイレを我慢するために食事や水を控えたため衰弱した高齢者、スロープや誘導ブロックがないため動けなかった肢体不自由者や視覚障害者、放送でしか情報提供されずに必需物資を入手できなかった聴覚障害者、寒さやホコリで症状が悪化した内部障害者や高齢者、集団生活に適応できなかった知的障害者など、さまざまな問題を抱えていた。精神的にも、気兼ねや差別的言動に苦慮した人も少なくない。
そのため、避難所生活を諦めて被災した自宅で暮らしたり、知人・親戚宅に避難した人が多かった。なかでも、自宅生活をしていた人には状況の厳しい人が多かったと指摘するボランティアも多い。情報ネットワークから漏れてしまっていたためである。程度の軽い人でも、部屋の片づけや配給物資の入手、給水の運搬が大変で、体をこわしたり、寝込んだ人もでている。

 

 

 

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